今川玉香園茶舗コラム 「水路の金魚」

当店前の水路には金魚が住み着いています。
ご来店の際はぜひ覗いて見てください。

当店は水尾町という幅5m程度の細い路地にある。 その路地には20cm位の雨水用の水路があり、そこになぜか金魚を飼ってある。


 もとは町内の祭りの金魚すくいで最後まで逃れ続けたのを飼ったのがはじまり。 そこで蔵の前にある溝に仕切りを作って金魚用の水路にしてしまった。 流れる水は当店の土蔵脇にこんこんと湧く井戸から引いている。
 最初の年はまだイリコくらいの小さな金魚だったのが、今では10cmを越える。 それを見た近所のおじさんが「わしん所のランチュウをここで飼えやー」、と持ってきてくれた。
またある時は噂を聞きつけたアメリカ留学を控えた女の子が、わざわざ神戸から「うちのオマリー、パチョレック、クロマティーをよろしくお願いします。」と言って三匹の金魚を持ってきてくれた。


えさはこの金魚水路を作った4代目当主の朝ご飯の残り。 時には米粒、時にはそうめん。 また時には子供が突っ込む指・・・。
そうめんが餌の時には飲み込みきれず、体より長いそうめんを口にくわえたまま泳いでいる。

去年何度も尾道を襲った巨大台風では急流になった水路の中で、 けなげにも水に逆らって泳いでいた。 朝起きてみると、少し水路が広くなったようだった。 何匹かは海まで泳いでいったのだろう・・・。

この金魚、昨年ついにTVデビューを果たす。 最初は恥ずかしがって水草の陰に隠れていた。 今では人を見ると餌をくれると思うのか、寄って来る。

まことに住む場所といい、仕草といい、珍妙な金魚たちである。

今川玉香園茶舗Webサイト トップページへ